【経済】スリランカのドロドロ政治劇!ラジャパクサ派と現政府の対決はいかに!?【まとめ】

2017-07-29 14:13

スリランカ軍、ラジャパクサ派のストライキを鎮圧!


 

コロンボにある国営企業セイロン石油公社(CEYPETCO or CPC、Ceylon Petroleum Corporation)の石油関係者が、数百人規模のストライキを決起しました。

キッカケは、国営管理となっている石油貯蔵所の株式を中国とインドに売却と共に開発をしていくことに対して、ストライキを蜂起することに至ったようです。
また中国に関しては、政府が中国へ港の運営権を移譲する動きを見せていることに対しても非難しています。

実は、今回のストライキですが、元大統領のマヒンダ・ラージャパクサが煽動しているようで、現政権との対立の姿勢が浮き彫りになってきています。
どういうことでしょうか? 1つずつ見てみましょう。

 

ストライキとなった原因の港や石油貯蔵所について


■ストライキの原因となった場所

今回のストライキの原因となった場所は、東湾岸部のトリンコマリー(Trincomalee)と南湾岸部のハンバントタ(Hambantota)です。
トリンコマリーとハンバントタの詳細を見られる方は、下記のリンクよりご確認ください。

 

【まとめ】トリンコマリーの気温や湿度、降水量 スリランカに到着しても、どのような気候か気になりますよね。 今回は、スリランカにあるトリンコマリーの平均気温や
【まとめ】ハンバントタの気温や湿度、降水量 スリランカに到着しても、どのような気候か気になりますよね。 今回は、スリランカにあるハンバントタの平均気温や湿度

 

■スリランカ政府の目的

スリランカ政府自体は、トリンコマリーの石油貯蔵所をインドに、ハンバントタの石油貯蔵所を中国に移譲および共同開発することで、中国やインドから資金調達と更なる石油の貯蔵施設の増設が目的です。
またハンバントタ港については、中国に運営権を99年移譲することで話が進んでいることもあり、中国に港と石油貯蔵所を握られていることが更なる嫌気の原因となっているようです。

ハンバントタの石油貯蔵所は数が不明ですが、トリンコマリーの石油貯蔵所については、全部で99個あり、今回の共同開発で行うインディアンオイル(IOC.NS)が15個所有しています。
今後は、更に石油貯蔵所を増やしていくことをインド – スリランカ間で合意されています。(2017年3月インド・モディ首相とスリランカ・シリセーナ大統領の合同声明)

 

ラジャパクサ元大統領について


■ラジャパクサとは?

元大統領のラジャパクサは、ハンバントタ出身の政治家です。代々の家系が政治家家系で、若くして大臣に就任するなど、ラジャパクサ自身優秀でした。
政党は、スリランカ2大政党の1つ、スリランカ自由党(SLFP)で、世界初の女性大統領を輩出したバンダラナイケ系譜の政党で力を付けていった政治家です。

 

■大統領就任

ラジャパクサは、バンダラナイケ系譜の娘であるクマーラトゥンガの後継候補として立候補し、見事2005年に大統領に就任しました。
ラジャパクサの大きな功績は、何と言っても1983年から続いていた内戦を終結させたことで、力押しではありましたが鎮圧したことで、国内外に高い評価を得ました。

 

■内戦終了後のラジャパクサ政権

内戦終結後、ラジャパクサの元で更に経済成長率を伸ばし続けていましたが、実際には、内戦時代から援助されていた中国資本を継続的に注入していたことが大きな要因です。
中国資本は、ラジャパクサのハンバントタの港の開発(今回問題になっているハンバントタ港)、空港の開発(ラジャパクサ国際空港)などラジャパクサの地盤に集中的に投資しており、今回のストライキの元凶を作っています。

 

地元優遇にしたにも関わらず、ハンバントタ港はあまり使われておらず赤字の連続、ラジャパクサ国際空港に至っては、ほとんど使用されておらず、現在は国際空港として機能していません。今は、パイロットの訓練場として使われているようです。

このため、輸出拠点を増設したにも関わらず、実際には使用されていないため、貿易赤字となっております。
また、国外からの関税負荷や輸出する際の検査体制の劣悪さなどが重なり、国際競争力はとても低いです。

 

農産物の輸出の障壁は、対外より自国の検査体制が問題 現在、スリランカからの農産物の輸出は、スリランカ空軍の人力目視チェックを受けてから出荷されます。 この時

 

■権力私物化や利権・・・なれの果て

ラジャパクサは、政府に自身の兄弟を大臣などの要職に取り立て、政府を私物化していることが批判されていました。
また、クマーラトゥンガ時代までは、大統領の3選禁止をしていましたが、ラジャパクサの代でその3選禁止を排除。
そのまま3選目も継続出来る形を整えました。

これに加え、ハンバントタ港はラジャパクサ陣営の業者で固め利権化していました。
このため、利権外の業者はコロンボ港やトリンコマリー港などに寄せてしまい、あまり使われず閑静な港となって赤字を垂れ流しています。
赤字の垂れ流しと、中国への債務支払+中国への利率払い(6%)などが重なり、現在もハンバントタ港は国営に大きな負担となっています。

 

こうした背景もあり、ラジャパクサは、2015年の大統領選にてマイトリーパーラ・シリセーナに敗れ、失脚しました。
多くの有権者はラジャパクサの独裁ぶりに嫌気と恐怖を持っていますが、ラジャパクサ支持者は、今でもラジャパクサの強権ぶりを根強く支持しています。
こうした支持者が、今回のストライキを蜂起することになります。

 

ラジャパクサ元大統領と現政権の因縁


■ラジャパクサ政権とシリセーナ政権の違い

ラジャパクサ政権とシリセーナ政権の大きな違いは、ラジャパクサ政権が親中政策で中国ベッタリ出会ったことに対し、シリセーナ政権は中国依存脱却を図り、インドや中国、韓国、日本などリスク分散を取りながら経済成長を狙っていく政策に転換しています。

 

■ラジャパクサ政権の尻拭いと前途多難なシリセーナ政権

ただ、ラジャパクサ政権時代に残された負の遺産(中国への支払いやラジャパクサ利権の切り崩しなど)がまだまだ多く残っているため、その後処理に終われる日々が続いています。

そして、ラジャパクサは、その後処理に追われている政府に対して、「政策を決めきれない政府」として非難しています。
・・・まぁ、何と言いますか、自分の後処理してくれる人に対して、「尻拭いしないで、さっさと経済成長させてみろよ!」とのたまわっている感じですね。

 

ラジャパクサが撒いた負の遺産の影響で中国への借金返済で追われており、経済成長が阻害されているんですけどね・・・。
まぁ、ラジャパクサからしてみれば、自身の政権時代より経済成長していなければ国民の非難が続出し、自身の復権を望む声が増えるだろうという考えで、現政権を邪魔しているように見えます。
三流政治家の悪手ですね・・・。

 

今回のストライキにラジャパクサが関与した理由


■ラジャパクサがストライキを起こすメリット

1つは、現政権を混乱させる目的があります。
今回のストライキは、国営のセイロン石油公社なので、石油に関連している自動車など交通インフラがマヒする事態になり、スリランカの車社会に大打撃を与えました。

 

もう1つは、自身の地盤であるハンバントタ港の利権消滅に対する抗議です。
元々、ハンバントタ港は85%以上の中国資本が介入して作られましたが、その港を仕切っていたのは、ラジャパクサ陣営です。
この運営権を中国に99年貸与するということは、自分の地盤、特に海洋拠点を失うことになるので、とても容認出来ることではありません。
そのため、ハンバントタ港と併せて、この港にある石油貯蔵所の株式売却や共同開発を政府が発表したことに対して、抗議するためにセイロン石油公社を焚き付けたと思われます。

 

ラジャパクサ関与を示唆する記事

Sri Lanka arrests oil workers as troops restore supplies
Sri Lanka oil strike ends as govt gets tough

 

今回のストライキの顛末


結果的に、このストライキは、警察とスリランカ軍も介入し鎮圧する事態にまで発展しました。
20人ほどのセイロン石油公社のストライキの主要人物を逮捕し、他のメンバーは仕事に返したようです。
警察だけでは収まらず、スリランカ軍も投入するほどのストライキの規模だったのには驚きですね。

現在は、次第に復旧していっているようです。

 

(番外)その他のストライキ


直近で起こったデモをお伝えいたします。

 

【07/23】医師のストライキ Government Medical Officers’ Association (GMOA) 私立医大の教育レベルが低すぎて、現職医師が怒りのスト
【07/25】南部州のバス協会 国家交通委員会が新たに定めたルートについてルート許可がいることに対するスト

 

【参照】

Sri Lanka arrests oil workers as troops restore supplies
Sri Lanka oil strike ends as govt gets tough
‘Politicians never hit by strikes’
Sri Lanka, India to develop Trincomalee oil tank farm
Sri Lanka, India to partner on oil storage project – Modi
Talks on development of Trincomalee port by India in final stages: Sri Lanka
State doctors’ union readies for another strike on Tuesday
A bus strike in Southern Province on the 25th